Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
中の茶の間は、広いけれど障子一重で台所だし、光線が入らず、陰気でじめじめしているので、母親はそこを嫌って寝室にも玄関を撰んだ訳であった。何故私はこんなにこまごまと間取を説明したかというに、実はこの部屋の関係が初代変死事件をあれ程面倒なものにした、一つの素因をなしていたからである。事の序にもう一つ、この事件を困難にした事情を述べて置くが、初代の母親は少し耳が遠くなっていた。それに、その夜は夜更しをした上に一寸昂奮する様な出来事もあったので、寝つきが悪かった代りには、僅の間であったが、ぐっすりと熟睡してしまって、朝六時頃に目を覚ましたまでは何事も知らず、少々の物音には気のつかぬ状態であった。
母親は六時に目を覚ますと、いつもする様に、戸を開ける前に、台所へ行って、仕かけて置いた竈の下をたきつけて、少し気掛りなことがあったものだから、茶の間の襖をあけて、初代の寝間を覗いて見たのだが、雨戸の隙間からの光と、まだつけたままの机の上の置電燈の光によって、一目でその場の様子が分った。布団がまくれて、仰臥した初代の胸が真赤に染まり、そこに小さな白鞘の短刀が突立ったままになっていた。