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Japanische Klassiker mit Furigana

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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme

Aozora Bunko

しかも、無残に殺されて、どこの誰とも分らぬ奴に、あの可憐な心臓を、むごたらしく抉られて。

私は彼女の数々の手紙を読み返しては泣き、彼女から贈られた彼女の本当の先祖の系図帳を開いては泣き、大事に保存してあった、いつかホテルで描いた彼女の夢に出て来るという浜辺の景色を眺めては泣いた。誰に物を云うのもいやだった。誰の姿を見るのもいやだった。私はただ、狭い書斎にとじ籠って、目をつむって、今はこの世にない初代と丈け逢っていたかった。心の中で、彼女と丈け話がしていたかった。

彼女の葬式の翌朝、私はふとある事を思いついて、外出の用意をした。嫂が「会社へいらっしゃるの」と聞いたけれど、返事もしないで外に出た。無論会社へ出る為ではなかった。初代の母親を慰問する為でもなかった。私は丁度その朝は、なき初代の骨上げが行われることを知っていた。アア、私は嘗ての恋人の悲しき灰を見る為に、いまわしい場所を訪れたのである。

私は丁度間に合って、初代の母親や親戚の人達が、長い箸を手にして、骨上げの儀式を行っている所へ行合わした。私は母親にその場にそぐわぬ悔みを述べて、ボンヤリ竈の前に立っていた。