Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
云うまでもなく、第一の買手が花瓶を受取りに来たのが、丁度殺人事件の発見された日と一致していたことが、私の注意を惹いた。だが、それが何を意味するかは少しも分らない。深山木もこの花瓶のことを考えていたに相違ないが、(老人は深山木らしい人物が三日前に同じ花瓶のことを尋ねて来たのを、よく覚えていた)どうして彼は、あんなにもこの花瓶を重視したのであろう。何か理由がなくては叶わぬ。
「あれは確かに揚羽の蝶の模様でしたね」
「エ、エエその通りですよ。黄色い地に沢山の揚羽の蝶が散らし模様になっていましたよ」
私は覚えていた。くすんだ黄色い地に、銀の細線で囲まれた黒っぽい沢山の蝶が、乱れとんでいる、高さ三尺位の一寸大きな花瓶であった。
「どこから出たもんなんです」
「何ね、仲間から引受けたものですが、出は、何でもある実業家の破産処分品だって云いましたよ」
この二つの花瓶は、私が初代の家に出入りする様になった最初から飾ってあった。随分長い間だ。それが初代の変死後、引続いて僅か数日の間に、二つとも売れたというのは、偶然であろうか。そこに何か意味があるのではないか。私は第一の買手の方にはまるで心当りがなかったが、第二の買手には少し気附いた点があったので、最後にそれを聞いて見た。