Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
彼の私に対する求愛がどんなに狂おしいものであったか。それを思い合わせると、初代に対する求婚に失敗した彼が、私から彼女を奪う為に、綿密に計画された、発見の恐れのない殺人罪を敢て犯さなかったと、断言出来るであろうか。彼は異常に鋭い理智の持主である。彼の研究はメスを以て小動物を残酷にいじくり廻すことではなかったか。彼は血を恐れない男だ。彼は生物の命を平気で彼の実験材料に使用している男だ。
私は彼が池袋に居を構えて間もなく、彼を訪ねた時の無気味な光景を思出さないではいられぬ。
彼の新居は池袋の駅から半里も隔った淋しい場所に、ポッツリと建っている陰気な木造洋館で、別棟の実験室がついていた。鉄の垣根がそれを囲んでいた。家族は独身の彼と十五六歳の書生と飯炊きの婆さんの三人暮しで、動物の悲鳴の外には、人の気配もしない様な、物淋しい住いであった。彼はそこと、大学の研究室の両方で、彼の異常な研究に耽っていた。彼の研究題目は、直接病人を取扱う種類のものではなくて、何か外科学上の創造的な発見という様な事にあるらしく思われた。
それは夜のことであったが、鉄の門に近づくと、私は可哀想な実験用動物の、それは主として犬であったが、耐えられぬ悲鳴を耳にした。