Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
自然、私は諸戸がいつ帰ったのか、彼がその間にどんなことをしていたのか、少しも知らなかった。
取調べの結果、下手人は全く不明であった。死者と遊んでいた子供等は(彼等の内三人は、海岸近くに住んでいる中流階級の子供で、一人は当日姉につれられて海水浴に来ていた東京のものであった)砂に埋まっていた深山木の身辺へは、誰も近寄ったものがないと明言した。十歳前後の子供であったとは云え、人一人刺殺されるのを見逃がす筈はなかった。又、彼から一間ばかりの所に腰をおろしていた、彼の二人の細君達も、彼女等は深山木の身辺に近づいたものがあれば、気のつかぬ筈はない様な地位にいたのだが、そんな疑わしい人物は一度も見なかったと断言した。その外彼の附近にいた人で、下手人らしい者を見かけたものは一人もなかった。
私とても同様に、何の疑わしき者をも見なかった。彼から二三間はなれた所に立ち、暫く若者たちのダイヴィングに見とれていたとは云え、若し彼に近づき、彼を刺したものがあったとすれば、それを目の隅に捉え得ぬ筈はなかった。誠に夢の様に不可思議な殺人事件と云わねばならぬ。被害者は衆人に環視されていたのである。