Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こどくしゃのあい

孤独者の愛

豊島 与志雄

Lesen Sie 孤独者の愛 (こどくしゃのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.723 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

丸みがかった顔立で、美人とは言えないが、頬の肉が柔かそうで、化粧のせいばかりでなく色が白い。耳は小さそうで、黒髪に半ば隠れている。縞銘仙の着物をきているが、料理屋の女中というよりは……煙草屋の娘、今はそんなものは無くなったが、昔の小説なんかに出てくる煙草屋の年増娘、そういった感じがある。

彼女は私に酒のお酌をしながら、じいっと私の顔を見つめて――

「わかったわ。あなたは一人っ子なんでしょう。」

そしてぱっと頬を紅くした。

私は心にどきりとした。もし彼女が頬を紅らめなかったら、なにを生意気なこと言うかとむくれるところだったが、その頬の血いろがじかに私の心に映り、私も少し顔をほてらしたらしい。

然し実は、私は一っ子ではない。兄も姉もある。戦争中は海軍の方に徴用されていたが、其後、生家を離れて、素人下宿の二階に、三十三歳の身を置いている。母や兄や姉など、しきりに結婚をすすめるけれど、家庭生活というものがへんに煩わしく怖いのだ。生理的慾望については、娼婦のところへ行きさえすれば、こちらは黙っていて、少しも気を遣うことなく、極めて自然に満足さしてくれる。何の気苦労もいらず、はにかむようなこともない。