Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ほうえいふんか

宝永噴火

岡本 かの子

Lesen Sie 宝永噴火 (ほうえいふんか) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.505 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

一方、慧鶴の方でも、娘の素振りから、それと察しないわけではなかった。しかし、生れつき性格に屈托のある青年は、ただ、悲しくいじらしいものに、それを感ずるだけであって、娘の情を、どう受け止めて好いのか、取捌けば好いのか、まるで手足がなかった。その儘に居れば熱く重苦しい負担を覚え、振り放そうとすれば、あとに世にも残酷な焼跡を残しそうで、思い切れなかった。焦慮と反側とに心を噛ましているのが、却ってしまいには冷え冷えとした楽しみになった。

こういう双方の心の動きが、一つもこれといって形や言葉となって現われずに過ぎた。慧鶴は頼まれた橘屋の祖先の忌日に読経に行き、食事の施しを受けて帰った。娘はこういう青年僧の訪問のときに母と共に挨拶に出て顔を合せるだけだった。それでいて慧鶴も娘もじりじり痩せて行った。

こんなことで元禄十六年も暮れ、翌年改元して宝永元年の春になった。慧鶴が清水の土地を思い切り、美濃の檜木の瑞雲寺へ入って馬翁という詩僧に従ったのは、勿論、娘と得体の判らぬ心理の関係にある、その境地から逃れよう為もあったが、僧でもなく俗でもない身持で、風雅に対してだけ快楽を求める生活が、俄に不安を増して来たからだった。