Japanische Klassiker mit Furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Lesen Sie 家 (いえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.411 Zeichen · 285 Bildschirme
「彼女は、どの位嬉しいか解ないところだ」とお種は三吉に言って聞かせた。「お前さん達のことばかり言い暮して来た。彼女が郷里へ連れられて行ったのは、六歳の時だぞや。碌に記憶があらすか。今度初めて東京を見るようなものだわい」
種夫はすこしも静止していなかった。部屋の内は正太の趣味で面白く飾ってあったが、子供はそんなことに頓着なしで、大切な道具でも何でも玩具にして遊ぼうとした。
「種ちゃん、いらッしゃい、豊世叔母ちゃんが負ぶして進げましょう――表の方へ行って見て来ましょうネ」
と豊世は種夫を連れて、階下へ行った。やがて、往来の方からお仙を呼ぶ声がした。
「お仙ちゃんも、そこいらまで一緒に見に行きませんか」
豊世が誘うままに、お仙も町の夕景色を見に出掛けた。
正太は母や叔父を款待そうとして、階梯を上ったり下りたりした。二階の縁側に近く煙草盆を持出して、三吉はお種と相対に坐った。お種が広い額には、何となく憂鬱な色が有った。でも案じた程でも無いらしいので、三吉もやや安心して、亡くなった三人の子供の話なぞを始めた。山で別れてから以来、お種は言いたいことばかり、何から話して可いか解らない程であった。