Japanische Klassiker mit Furigana
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てらさかきちえもんのとうぼう
寺坂吉右衛門の逃亡
直木 三十五
Lesen Sie 寺坂吉右衛門の逃亡 (てらさかきちえもんのとうぼう) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.243 Zeichen · 19 Bildschirme
「番町の、堀内源太左衛門正春先生のところでは、門人から、六人まで、義士を出したって、今日、大酒盛だって――」
「そうだろうな。嬉しいだろうよ」
髪結床で、小者が、話をしていた。吉右衛門は、髪をすかせながら、眼を閉じて聞いていた。
「あの、寺坂吉右衛門って、仲間は、お前、何うおもう?」
「えらいじゃねえか」
「手前たあ、ちっとばかしちがうの」
「何を――手前なんぞ、安夜鷹ばかり買やがって、討入と聞いたら、腰の抜ける方だろう」
「何うだ」
「ちげえねえ。所で、その寺坂め、泉岳寺の人数の中にゃ、いないんだってのう」
「そこが、遠慮――何んとかってんだ。国許へ知らせの役に、行ったんだろうって、邸の御用人が仰しゃってたが、そうだろうよ。下郎は士じゃねえから、お上でも大目に見らあな。それに、侍が一人いなくなったといや、命を惜しんでと噂されるだろうし、誰も国許へなど行く人は無いだろう。何んしろ、えらい人ばかりだからのう、そこで、寺坂、頼むってなことになって――お前、生残って寺坂で御座い、品川へでも行きゃあ、女にもてるぜ」
「ところが、そんな奴に限って、余り男振りはよくねえにきまってらあ」