Japanische Klassiker mit Furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme
たとえばタイプライターをたたいたり、ピアノをひいたりするような動作でもどうかするとひどく胃にこたえる事がしばしばあった。ことに文句に絶えず頭を使いながらせき込んで印字機の鍵盤をあさる時、ひき慣れないむつかしい楽曲をものにしようとして努力する時、そういう時には病的に過敏になった私の胃はすぐになんらかの形式で不平を申し出した。しかしこれは手や指を使うというよりもむしろ頭を使うためらしく思われた、芝を刈るというような、機械的な、虚心でできる動作ならばおそらくそんな事はあるまいと思われた。少なくも一日に半時間か一時間ずつ少しも急いだり努力したりしないで、気楽にやっていればさしつかえはあるまい。こんな事を考えながら私は試みに両腕を動かして鋏を使うまねをしてみた。まだ実際には経験しない芝刈りの作業を強く頭に印象させながら腕を動かしてみたが、腹に力を入れるような感覚は少しも生じて来ないらしかった。念のために今度は印字機に向かったつもりになって両手の指を動かしているといつのまにか横隔膜の下のほうが次第に堅く凝って来るのを感じた。
このような仮想的の試験があてになるかどうかは自分にも曖昧であったが、ともかくも一つ実物について試験をしてみて、もしさわりがありそうであったら、すぐにやめればよいと思った。