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Japanische Klassiker mit Furigana

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どんぐり

寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田 寅彦

Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme

Aozora Bunko

笑い

子供の時分から病弱であった私は、物心がついてから以来ほとんど医者にかかり通しにかかっていたような漠然とした記憶がある。幸いに命を取り止めて来た今日でもやはり断えず何かしら病気をもっていない時はないように思われる。簡単なラテン語の名前のつくような病気にはかかっていない時でも、なんとなしに自分のからだをやっかいな荷物に感じない日はまれである。ただ習慣のおかげでそれのはっきりした自覚を引きずり歩かないというだけである。それで自分は、ちょうど色盲の人に赤緑の色の観念が欠けているように、健康なからだに普通な安易な心持ちを思料する事ができないのではないかと思う事もある。もっとも健康な人は、そういういい心持ちが常態であってみれば、病後ででもない限りやはりそれを安易とも幸福とも自覚しないだろう。すると結局日常生活の仕事の上には、自分のようなものも健全な人も、からだの自覚から受ける影響はたいしたものではないかもしれないが、しかしこれほど根本的な肉体的の差別がどこかに発露しないはずはない。

それで、これから告白しようとする私の奇妙な経験がどこまで正常な健康を保有している幸福な人たちに共通で、どこからが私のようなものに限っての病的な現象に連関しているかは、遺憾ながら私自身にもよくわからない。