Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

どんぐり

寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田 寅彦

Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme

Aozora Bunko

しばらく止まっているかと思うとまた始まる。そして今度は前に聞こえたとは少し違った見当に、しかも前よりはだいぶ近い所で聞こえだす。近よるに従ってこの音は前のような不思議な性質を失って、もっと平凡な現実的な音色に変わって来る。それはちょうど鉄鎚で鉄管の端を縦にたたくような音である。不意に自分のベットの足もとのほうでチョロ/\/\と水のわき出すような音がしばらくつづいて、またぱったりやむ。鉄管をたたくような音がだんだん近くなって来ると、今度は隣室との境の壁の下かと思う所で、強くせわしなくガチンガチンと鳴りだす。たとえばそれは小さいしかし恐ろしい猛獣がやけに檻にぶっつかるかと思うような音である。すると今まで鈍い眠りに包まれていた病室が急に生き生きした活気を帯びて来る。さらにこの活気に柔らかみを添えるのは、鉄をたたく音の中に交じってザブ/\ザブ/\と水のあふれ出すような音と、噴気孔から蒸気の吹き出すような、もちろんかすかであるが底に強い力と熱とのこもった音が始まる。このようないろいろの騒がしい音はしばらくすると止まって、それが次の室に移り行くころには、足もとの壁に立っている蒸気暖房器の幾重にも折れ曲がった管の中をかすかにかすかにささやいて通る蒸気の音ばかりが快い暖まりを室内にみなぎらせる。