Japanische Klassiker mit Furigana
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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第一巻 (どんぐり) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.161 Zeichen · 412 Bildschirme
暗い沈鬱な顔をして黙ってやっている。棍棒が倒れるとカランカランという音がして、それが小屋の中から静かな園内へ響き渡る。リップ・ヴァン・ウィンクルの話を思い出しながら外へ出る。木のこずえにとまった一羽の鴉が頭を傾けて黙ってこっちを見ていた。……ゴロゴロ、カランカランという音が思い出したように響いていた。
(大正九年六月、渋柿)
二 ホンコンと九竜
夜の八時過ぎに呉淞を出帆した。ここから乗り込んだ青島守備隊の軍楽隊が艫の甲板で奏楽をやる。上のボートデッキでボーイと女船員が舞踊をやっていた。十三夜ぐらいかと思う月光の下に、黙って音も立てず、フワリフワリと空中に浮いてでもいるように。
四月四日
日曜で早朝楽隊が賛美歌を奏する。なんとなく気持ちがいい。十時に食堂でゴッテスディーンストがある。同じ事でも西洋の事は西洋人がやっているとやはり自然でおかしくない。
四月五日
朝甲板へ出て見ると右舷に島が二つ見える。窓ガラスの掃除をしているかわいらしい子供の船員に聞いてみたが島の名もわからない、福州の沖だろうという。
甲板の寝台に仰向きにねて奏楽を聞いていると煙突からモクモクと引っ切りなしに出て来る黒い煙も、舷に見える波も、みんな音楽に拍子を合わせて動いているような気がする。