Japanische Klassiker mit Furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
というふうに歌って聞かせた。それを聞いていると子供の自分の眼前には山ふところに落ち葉の散り敷いた冬木立ちのあき地に踊りの輪を描いて踊っているたぬきどもの姿がありあり見えるような気がして、滑稽なようで物すごいような、なんとも形容のできない夢幻的な気持ちでいっぱいになるのであった。
後年夏目先生の千駄木時代に自筆絵はがきのやりとりをしていたころ、ふと、この伯母のたぬきの踊りの話を思い出して、それをもじった絵はがきを先生に送った。ちょうど先生が「吾輩は猫である」を書いていた時だから、さっそくそれを利用されて作中の人物のいたずら書きと結びつけたのであった。
それはとにかく、この「山火事と野猪」の詩や、「たぬきの舞踊」の詩には現代の若い都人士などには想像することさえ困難であろうと思われるような古い古い「民族的記憶」といったようなものが含まれているような気がする。それは万葉集などよりはもっと古い昔の詩人の夢をおとずれた東方原始民の詩であり歌であったのではないかと思われるのである。そうした詩が数千年そのままに伝わって来ていたのがわずかにこの数十年の間に跡形もなく消えてしまうのではないかと疑われる。