Japanische Klassiker mit Furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
三斜晶系
一 夢
七月二十七日は朝から実に忙しい日であった。朝起きるとから夜おそくまで入れ代わり立ち代わり人に攻められた。くたびれ果てて寝たその明け方にいろいろの夢を見た。
土佐の高知の播磨屋橋のそばを高架電車で通りながら下のほうをのぞくと街路が上下二層にできていて堀川の泥水が遠い底のほうに黒く光って見えた。
四つ辻から二軒目に緑屋と看板のかかったたぶん宿屋と思われる家がある。その狭い入り口から急な階段を上がると、中段の踊り場に花売りの女がいた。それを見ると妙に悲しかった。なぜかわからない。
大きな日本座敷の中にベンチがたくさん並んでいる。そこで何か法事のような儀式が行なわれているか、あるいはこれから行なわれようとしているらしい。自分はいつのまにか紋付き袴の礼装をしている。自分の前に向き合って腰かけた男が、床上にだれかが持って来て置いた白い茶わんのようなものを踏むとそれがぱちりと砕けた。すると自分も同じように自分の足もとにある白い瀬戸物を踏み砕いた。いったいどういうわけでそんな事をするのか自分でもわからないで変な気持ちがした。濃紫の衣装を着た女が自分の横に腰掛けているらしかった。