Japanische Klassiker mit Furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
その結果は上あごの入れ歯がややもすると脱落しやすくなる。自分の場合には、妙なことには何か少し改まって物を言おうとすると自然にそれがたれ落ちそうになる。たとえば講演でもしようとして最初の言葉を言おうとするときにきっと上の入れ歯が自然にぽたりと落下して口をふさごうとするのである。緊張のために口の中のどこかがどうにか変形するためらしい。いやな気持ちがあごをゆがめるのかもしれない。
入れ歯と歯ぐきとの接触の密なことは紙一重のすきまも許さないくらいのものらしい。どこかが少しきつく当たって痛むような場合に、その場所を捜し見つけ出してそこを木賊でちょっとこするとそれだけでもう痛みを感じなくなる。それについて思い出すのは次の実話である。スクラインの「シナ領中央アジア」という本の中にある。
東トルキスタンのヤルカンドにミッション付きの歯医者がいた。この人の所へある日遠方の富裕な地主イブラヒム・ベグ・ハジからの手紙をもった使いが来て、「入れ歯を一そろい作ってこの使いの者に渡してくれ」とのことであった。そこで歯医者は返事をかいて、「口中をよく拝見した上でないと入れ歯はできないから御足労ながら当地までおいで願いたい」