Japanische Klassiker mit Furigana
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ちいさきりょうしん
小さき良心
Lesen Sie 小さき良心 (ちいさきりょうしん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.366 Zeichen · 11 Bildschirme
自分は人通りを除けて暗い路をあるいた。
耳がシーンと鳴っている。夢中にあるいている。自分はどの道をどう来たのかも知らない。つく杖の音が戞々とする。この太い桜の杖で今人を撲って来たんだ。
ここは何という町かそれもわからない。道を曲って、曲って、暗い道、暗い道をあるいて来たのである。新京極から逃げて来てからあまり時間を経たとも思わない。しかし何分程経たということもわからない。
暗い道の辻を曲った時、うどんそば手打と書いた赤い行燈を見て、ふと「手打ちだ!」と思い出すともなく思ったあの瞬間を思い出した。それは抜打ちだった。「抜く手も見せず」というような言葉の聯想が湧いてくる。
杖をコツ・コツと突いている。あの男を撲った時はも少し高い音がしたと思う。コツ・コツ。それ程の音だ。何しろかたいものがかたいものに打つかる音だった。それは快く澄んだ音だった。その音はかくも無性な激しい怒りとまといつく怖れのもつれあがるのをぶち切ったのだ。
対手はその途端くるっと後をむいて倒れたらしかった。自分は直ぐに逃げ出したのである。
「糞!」とも「畜生!」とも云わずに、この間の抜けた「阿呆!」