Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こはるのきつね

小春の狐

泉 鏡花

Lesen Sie 小春の狐 (こはるのきつね) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.102 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいえ、実盛塚へは――行こうかどうしようかと思っているので、……実はおたずね申しましたのは。」

「ほん、ほん、それでは、これじゃろうの。」

と片手の畚を動かすと、ひたひたと音がして、ひらりと腹を飜した魚の金色の鱗が光った。

「見事な鯉ですね。」

「いやいや、これは鮒じゃわい。さて鮒じゃがの……姉さんと連立たっせえた、こなたの様子で見ればや。」

と鼻の下を伸して、にやりとした。

思わず、その言に連れて振返ると、つれの浪路は、尾花で姿を隠すように、私の外套で顔を横に蔽いながら、髪をうつむけになっていた。湖の小波が誘うように、雪なす足の指の、ぶるぶると震えるのが見えて、肩も袖も、その尾花に靡く。……手につまさぐるのは、真紅の茨の実で、その連る紅玉が、手首に珊瑚の珠数に見えた。

「ほん、ほん。こなたは、これ。(や、爺い……その鮒をば俺に譲れ。)と、姉さんと二人して、潟に放いて、放生会をさっしゃりたそうな人相じゃがいの、ほん、ほん。おはは。」

と笑いながら、ちょろちょろ滝に、畚をぼちゃんとつけると、背を黒く鮒が躍って、水音とともに鰭が鳴った。

「憂慮をさっしゃるな。