Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
よいときにはよいことがつづく。
そこへ永年、音信不通だった父親の橘家圓太郎が、ヒョッコリ旅からかえってきた。
旅から旅の風塵にまみれた圓太郎は、もう昔のようなだらしのない道楽者ではなくなって、見るからに好々爺然たる枯れ桜のような風貌と変っていた。
無人の三遊派では喜び迎えて、圓太郎を、こよなき重宝役者とした。
父の圓太郎と母のおすみを七軒町の新宅へのこして圓朝は、浅草茅町の小間物屋の裏へ引き移った。
この間、越した家よりやや小さかったけれど、普請が新しく、裏の窓を開けると、濃い龍胆いろにすみだ川がながれていた。その川面へ、向こう河岸の横網町の藤堂さまの朱い御門が映り、それが鬱金いろの春日にキラキラ美しく揺れていた。
絶えず艪声も聞こえてきた。
こうした江戸前のスッキリした眺めも、いよいよ自分も一人前の芸人の仲間入りができるかの瑞兆のような、いいしれぬ喜ばしさを圓朝の胸に滲ませないではおかなかった。一日に何べんも何べんも裏の窓を開けてはフーッと深く呼吸して、水の匂いを一杯に吸い込んだ。
吐きだしてはまた吸い込んだ。
何べんも何べんも繰り返し繰り返し、試みた。