Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

どうせ自分の餘命はいくばくもないのであるから、晩かれ早かれ、彼女にそう云う運命が廻って来ることであろうけれども、女の若さと美しさにも自ら限りがあることを思えば、彼女のためには一日も早くそうなった方がよいのである。自分も彼女から死ぬのを待たれているくらいなら、今から死んだつもりになって、彼女の半生を明るくしてやりたい。恋しい人を此の世に遺して死んだ人間が、草葉の蔭からその人の将来を絶えず見守ってやるように、自分は生きながら死んだと同じ心持になるのだ。そうしてやったら、彼女も始めて、此の老人の愛情がいかに献身的なものであったかと云うことを、理解するであろう。その暁にこそ、彼女は此の老人に向って無限の感謝と萬斛の涙をそゝぐであろう。彼女は恰も、故人の墓に額ずくような気持で、あゝあの人は私のためにこんなに親切にしてくれた、ほんとうに可哀そうな老人であったと、泣いて礼を云ってくれるであろう。自分は何処か、彼女からは見えない所に身を隠して、餘所ながら彼女のその涙を見、その声を聞いて餘生を送る。その方が、いとしい人から恨まれたり呪われたりして暮すよりは、自分としてもどんなに幸福であるか知れない。