Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
左大臣はおろか、帝の后と云ってもよい程の容貌と品威に恵まれた人が、相手もあろうに無能力者の老翁の伴侶となったのである。自分は最初はその人の不幸を、努めて見て見ないふりをしていたのであったが、その人のめでたさ、いみじさが、肝に銘じて分って来るに従い、自分のようなものがこれだけの人を独占している罪の深さを、反省しないではいられなくなった。自分は天下に自分ほどの仕合わせ者はないと思っているけれども、妻の方では何と思っているであろう。自分がどんなにその人を大切にし、いつくしんだにしたところで、妻は内心迷惑こそすれ、決して有難いとは感じていまい。妻は此方が何を問うてもはっきり答えない人なので、お腹の中は知るよしもないが、ひょっとすると、此の老翁が早く死んでさえくれたらと、いつまでも長寿を保っている夫を恨み、その存在を呪っているのではなかろうか。………
………自分はそれに気が付くにつれ、もし適当な相手があって、此の気の毒な、いとしい人を、今の不幸な境涯から救い上げ、真に仕合わせにしてやることが出来るのであるなら、進んでその人に彼女を譲ってやってもよい、いや、譲るべきが至当である、と思うようになったのであった。