Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
高射砲の煙がそのあとを追いかけるように点々と空に流れた。しばらく経つと、別に九機がすべるようにマッキンレーの方角に轟音を残して、私たちの頭の上をすぎ去ったと思うと、
「煙だ!」
と、草原にしゃがんでいた男の一人が叫んだ。
人家の屋並のつらなっているニコルスのあたりに灰黒色の煙がぐいぐいと高く空に噴きあげている。それが次第に大きく南の空一ぱいにひろがってきた。
敵機と覚しきものを、この日、ついに見ることは出来なかった。みんな顔を見合すごとに感激にあふれ、誰ということもなく互いに握手したり、抱きあったりしている。空を眺めているうちに、空虚になった腹の底から自信がぐいぐいともりあがってきた。今やマニラの制空権はわれらのものである。それを口に出していえない気持が誰の胸にも沁みついているのだ。皇軍機は縦横自在にマニラの上空を往ったり来たりしては悠々と編隊を組んだり解いたりしている。やっと豚肉一片の昼飯にありついたのは午後三時だった。食事中、収容所長から、監視兵が極度に神経を尖らせているから、警報が鳴ったら、すぐさま室内とテントの中へ入り、絶対に動いたり騒いだりしてはならぬという注意があった。