Japanische Klassiker mit Furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Lesen Sie 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.032 Zeichen · 216 Bildschirme
電車線路のすぐ上は小高い丘になっていて、丘の上には高い銀杏の木がそびえ、右へだらだらにのびた崖の上には掘立小屋のような小さい家が雑然とならび、高い物干竿におしめの乾してあるのが見える。そのうしろには赤松の林がつづき、低い崖の下には丸い土管がつみかさねてある。その横にある小ぢんまりとした一軒家の竹垣がくずれて生活のにおいが何処からともなくながれてくるような一廓であった。丈吉の話によると本堂青年は宣伝用のパンフレットを印刷したことが祟ってあげられたのだという。
「兄弟二人とおっかさんとの三人ぐらしで、小さい印刷屋をやっていたのが兄弟二人ともやられているんです」
伍一はだまってうなずいてみせた。見るに忍びないものが、窓框に凭せかけた片肘にあごを乗せて視力のうすれた眼でぼんやり外の風景にみとれている彼の横顔の中に深い翳を刻んでいる。伍一は自分の身ぢかにいる丈吉よりもむしろちらっと瞳をかすめただけのこの青年のうち萎れている姿の方に心をひかれた。そこへ、眉の濃い口髭を生やした小柄な男がぬっと入ってくると、丈吉は身を引くようにして立ちあがり、伍一の耳に、「主任です」