Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やねうらのさんぽしゃ

屋根裏の散歩者

江戸川 乱歩

Lesen Sie 屋根裏の散歩者 (やねうらのさんぽしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.862 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは目覚し時計ですね」

「そうですよ」北村は多弁に答えるのです。「遠藤の自慢の品です。あれは几帳面な男でしてね、朝の六時に鳴る様に、毎晩欠かさずこれを捲いて置くのです。私なんかいつも、隣の部屋のベルの音で目を覚していた位です。遠藤の死んだ日だってそうですよ。あの朝もやっぱりこれが鳴っていましたので、まさかあんなことが起っていようとは、想像もしなかったのですよ」

それを聞くと、明智は長く延ばした頭の毛を、指でモジャモジャ掻き廻しながら、何か非常に熱心な様子を示しました。

「その朝、目覚しが鳴ったことは間違いないでしょうね」

「エエ、それは間違いありません」

「あなたは、そのことを、警察の人に仰有いませんでしたか」

「イイエ、……でも、なぜそんなことをお聞きなさるのです」

「なぜって、妙じゃありませんか。その晩に自殺しようと決心した者が、明日の朝の目覚しを捲いて置くというのは」

「なる程、そう云えば変ですね」

北村は迂濶にも、今まで、この点に気附かないでいたらしいのです。そして、明智のいうことが、何を意味するかも、まだハッキリ飲み込めない様子でした、が、それも決して無理ではありません。