Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとゆきのにっき
山と雪の日記
板倉 勝宣
Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme
パクッと、あたりの静けさを破る音とともに、虫は水の下へ、魚の腹へ、消えて行く。一面にたたえた水をへだてて、対岸に霞沢岳、左手に岩ばかりの穂高の頭が雲の中に出ている。Y字形の雪谷と、その上に噛みあった雪とが、藍色の水と相対して、一種の凄みがある。水の中に立った白樺のめぐりを、水にすれすれに円を画いて五、六匹の白蝶が、ひらひらひらとたわむれていたが、そのうちの一匹は、力がつきたのか、水の上にぱたりと落ちた。疲れた翼を励まして水を打ったが、二、三寸滑走してまた落ちた。ぱたぱたぱた水の中でもがく。友に救いを求めるように。そしてその小さな波が、岸の熊笹の葉を動かした時に、パッと音がして白蝶の姿は藍色の水に吸いこまれた。あとに小さな渦が一つ、二、三寸、左のほうへ動いて行って、スーッと消えた。霞沢岳の影と白樺の影が、一緒になって、ぶるぶると震えている。哀れとはこんな感じであろう。あたりは、いたって静かだ。相変らず蝶を呑むいわなが水の中を動いている。水の中に悪魔がいる。大正池は魔の池である。
上高地の月
井戸の中の蛙が見たら、空はこんなにも美しいものかと、私はいつも上高地の夜の空を見るたびに思った。