Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとゆきのにっき

山と雪の日記

板倉 勝宣

Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

五色温泉スキー日記

僕の腹の中にいつの頃からか変な虫が巣を喰っている。十一月頃からこの虫が腹の中で暴れて、雪が食いたい、雪が食いたいとがなりたてる。そうすると身体中の血がにえ返って、雪の天地が目の前にちらついて、いても立ってもいられなくなってくる。試験が終りに近づく時分には、いよいよ暴れ方が烈しくなって早く雪を食わせないと腹の中で何をされるかよほど心配になってきた。僕が虫に襲われた以上、他にも虫喰いがいるはずだ。大変さがして廻ってやっと小池と小林がやっぱり虫喰いなのを見つけだした。三人の虫喰いが上野駅を午後九時の汽車で五色に向かった。以下記するところは虫の言い草で決して僕の考えでない。僕はただ速記者として忠実に筆記するのみである。

三人の服装を見ると、ジラフのような小池が、上着にしては馬鹿に長いしオーバーにしては馬鹿に短いものを着て、ストッキングをはいている。きっとショートコートとでもいうものだろう。まさか借物じゃあるまい。小林と板倉はまた長いオーバーを着ている。世はままならぬものだ。まるで請負師のようだ。汽車は大変こんで各自盛んにディビッている。いくら切符を同じ値で買っても早い奴とずぶとい奴が席を奪っている。