Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとゆきのにっき

山と雪の日記

板倉 勝宣

Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

空の半分は広い河原を隔てて、僅か六町さきの麓から屏風のようにそそり立った六百山と霞沢岳のためにさえぎられて、空の一部しか見ることができない。夜になると、この六百と霞がまっ黒にぬりつぶざれて、その頂上に悪魔の歯を二本立てたような岩が、うす白く輪かくを表わす。そしてこの大きな暗黒の下に、広い河原を流れる梓川の音が凄く、暗闇に響く。ある日この頂上の上に、月が出た。小さいが、強い光の月だ。白い雲が、悪魔の呼吸のように、白い歯の影から、月を目がけて吹きかけて行くが、月のところにくると光にあった幽霊のごとくに消えうすれて行く。時には、月が動いているようにも見えた。霞の暗黒の下で、広い河原が月に照らされてその中の急流に、月が落ちて、くだかれて洗われている。水の面には白い霞がたなびいて、そこから風が起こるのか、すぐ傍の柳は、月の光を吸いながら、ゆるやかに動いていた。河辺にたつと月の光はくだけているばかりか、水の中に浸みこんで行く。河に沿うて、高峰の月を見ながら、流れの音を聞きながら歩いた。夜露がすっかり草の上に下りて、あたりの空気はひどくしめっぽかった。白樺が闇に浮く路を、黙って歩くと、いい得ぬ思いが胸にわく。