Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとゆきのにっき

山と雪の日記

板倉 勝宣

Lesen Sie 山と雪の日記 (やまとゆきのにっき) von 板倉 勝宣 (いたくらかつのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.279 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

風は依然として雪を捲いて吹きつけるからセーターの中まで針を通すような寒さが襲ってくる。小さな灌木の間を縫って行くと右手の遙か下の谷に新五色の温泉宿が平面的に見えて、その前に建物の陰か水か、真白な雪の上に薄黒く見えている。水ならきっと凍っているからスケートができるがと思いながら小池に聞くと「陰だよ」と一言のもとにしりぞけられた。登り行く途々鉢盛山の方向には山々が重り合っているのが見えるが、烈しい雪風に立っているのさえつらい。登れば登るほど風はひどくなった。孝ちゃんが早く帰ろうといってくれればよいと思いながら後をついて行った。風と雪とが後から吹くと前にのめりそうだ。いくら雪の景もこう苦しくてはなさけない。小池も小林も猿のような顔をして一言も声を出さない。そのうちに孝ちゃんが止ってこのさきに行っても風がひどいから帰りましょうといったのでたちまち賛成した。後を見るといままで歩いてきた跡はたちまち吹き消されている。孝ちゃんが滑って行ったと思うと影も見えなくなる。こいつは大変だと後を向くともうスキーが滑り出した。谷が実際にひかえているのだからおじけざるを得ない。