Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
此処で是非とも米や味噌を買わなければならぬし、人夫も一人雇わなければならないので、性の失せた木札に物品販売所の文字も怪しい路傍の家に寄り込んで相談を始めた。味噌は丁度この家にあった。人夫も折よく居合せた沢崎源次郎という若い者が行くことになった。これで味噌と源次郎は極った訳だが、一斗五升の米が無いのに閉口した。長次郎と金作が直ぐ裏の路を上って、慥に有るという家を尋ね合せたが、間もなく悄気て帰って来た。今度は仕度して来た源次郎が一緒になって、対岸の東蔵や山女まで探したが、矢張り駄目だ。南日君の渡した五円札は、手に握ったまま同じ路を幾度往ったり来たりしても、天勝の手品と違って米にならない。
私は局外者の位置に立って其処らをあるき廻っていた。この仕末がどう付くかと不安のようでもあり、多少の興味もあった。一軒の家に一斗五升なくても、三軒で五升宛買えばいいという南日君の声が聞える。遠くで一しきり鳴き渡っていた日ぐらしが近い木で鳴き初めた。後の山から引いてある筧の水が小さい瀑になって落ちている下で、素裸の子供が二人で水遊びをしている。蟹の子が石の間からちょろちょろ出て来てまた引込む。