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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme

Aozora Bunko

恐ろしく脊の高い偃松の中を旨く切明けを見付けて通り抜ける、横に楔形をして雪田の端が右手の山腹に天守台の石垣のような断崖を削り出す、厚い所は、三、四丈もあろうと思われる。其下の縁に沿うて白山小桜の咲いている細い畝を少し登ると好い平に出た。この広いそして僅に南東に傾いた原のような平が猫又山の頂上だった。三角点は北寄りの小高い処に在って、櫓も未だ残っている。偃松に囲まれた小さな窪地が二ツ三ツ、狭い入口を原の方に向けて開いている。此処に泊りたいような気がしたが、時計を見ると情ない哉まだやっと二時を過ぎた許りである。

鼠色の雲は時々むらを生じて、消えかかった提灯のように明るくなったり暗くなったりするが、この美しい山上の高原は彼等の住家ででもあるものか、執念く原を取り巻いて唯だ私達を焦らす許りだ。同じような斜面の何処を下りたらいいものか判断がつかない。こうなると地図も磁石もさして役に立たなくなる。果しがないからいい加減に見当を付けて降り始めたが、忽ち急な雪渓が私達の足を封じてしまった。どうも東へ寄り過ぎたようだ。雪渓を横切って暫く其縁を下る、斜面が峻しくなって歩けなくなると、木立の中を右に衝き抜けて、前面を小さい尾根で堤防のように遮ぎられた緩い傾斜地に出る。