Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまうらきよまろ

山浦清麿

吉川 英治

Lesen Sie 山浦清麿 (やまうらきよまろ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.573 Zeichen · 91 Bildschirme

Aozora Bunko

『風邪をひいても、知らないからいい。――ほんとに、この人は』

口が酢っぱくなったように、すぐそこの鏡台と長火鉢の間へ、つんと坐りかけたが、やはり気に懸けずにはいられないで、

『ね……起きて、座敷で楽に、横におなんなさいよ。後生だから』

肩を揺すぶると、上り框にしゃがみ込んで、踏み板へ、涎れを垂らしていた内蔵吉は、

『う……うるせえなあ』

『うるさいじゃありませんよ』

『水をくれ。……水、み、みずだ』

『上げますから、家へ上りますね』

茶碗に、汲んで渡すと、ぐっと飲みほして、

『お寿々、いろいろ世話になったなあ』

『何を云ってるのさ、この人は』

『いや、酔っちゃあいねえ』

『それだけ酔っていればたくさんでしょ』

『五合や一升で、性根を失ってたまるものか。本性だ。お……おらあ、本性で礼をいうんだぜ』

『そのうち醒めるでしょう。何でも、仰っしゃいよ』

『此家へ来たなあ、去年の春の末だったかなあ。あれから、一年半、もう秋だ……早いなあ』

『ホ、ホ、ホ、ホ。……それから』

『洗濯物の世話、小費いの世話、年月は短けえが、浅い恩たあ思わねえ。別れた後も、年上のおめえだから、姉さんだと思って、忘れずにいるからな』