Japanische Klassiker mit Furigana
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しまばらしんじゅう
島原心中
菊池 寛
Lesen Sie 島原心中 (しまばらしんじゅう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.293 Zeichen · 29 Bildschirme
それで、血が出たから押さえてやろうとしたのです』
『なるほど、お前のいうことは、だんだん本当に近くなってきたじゃないか。が、もう少し本当でなければいかん。もう少しのところだ。もう少し本当にいえばいいのだ』
『それで、女がもがいて、手で喉を掻きむしったのです』
『なるほどな。それで、掻き傷ができたというのだな。そんなこともあることだから、それも本当にとれる。だけど、お前よう考えてみるがいいぞ。普通の女というものは気の弱い人間だぜ。鬼神のお松というような毒婦だとか、乃木大将の夫人などという女丈夫なら、そら一突きで見事に死ぬかも知れん、が、あの女のような身体の弱い女に、そんなことができるかできんか、誰が考えても分かることじゃないか』
こういって来ると、相手の若者は、返事に窮したように、黙ってしまったのでした。僕は、もう一息だと思いました。
『何も、こんなことは、別にお前にきかなくても、初めからちゃんと分かっていることなんだ。掛りの医者を連れて来ているのだから、大抵のことは、お前にきかなくても分かってるのだ。が、お前が本当のことをいう男であるか、お前に何か取りえがあるかどうかと思って、きいているのだぞ』