Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.846 Zeichen · 96 Bildschirme
おげんは父が座敷牢の格子のところで悲しみ悶えた時の古歌も思出した。それを自分でも廊下で口ずさんで見た。
「きりぎりす
啼くや霜夜の
さむしろに、
ころもかたしき
独りかも寝む……」
最早、娘のお新も側には居なかった。おげんは誰も見ていない窓のところに取りすがって、激しく泣いた。
* * *
三年ほど経って、おげんの容体の危篤なことが病院から直次の家へ伝えられた。おげんの臨終には親類のものは誰も間に合わなかった。
養生園以来、蔭ながら直次を通してずっと国から仕送りを続けていた小山の養子もそれを聞いて上京したが、おげんの臨終には間に合わなかった。おげんは根岸の病院の別室で、唯一人死んで行った。
まだ親戚は誰も集まって来なかった。三年の間おげんを世話した年とった看護婦は夜の九時過ぎに、亡くなってまだ間もないおげんを見に行って、そこに眠っているような死顔を拭いてやった。両手も胸の上に組合せてやった。その手は、あだかも生前の女のかなしみを掩うかのように見えた。
おげんの養子は直次の娘や子供と連れ立って十時頃に急いで来た。年とった看護婦は部屋を片付けながら、