Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あらし

嵐

島崎 藤村

Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme

Aozora Bunko

これはよくよく夫の困った場合でなければ出すなと言って、お爺さんがくれてよこしたものとかで、母さんが後にその話を私にしてみせたこともある。あの母さんは六人の姉妹の中で、いちばんお爺さんの秘蔵娘であったという。その人ですらそうだ。ああいう場合を想ってみると、娘に薄くしても総領子息に厚くとは、やはり函館のお爺さんなぞの考えたことであったらしい。あの母さんのように、困った夫の前へ、ありったけの金を取り出すような場合は別としても、もっと女の生活が経済的にも保障されていたなら、と今になって私も思い当たることがいろいろある。

「娘のしたくは、こんなことでいいのか。」

私も、そこへ気づいた。やはり男の兄弟に分けられるだけのものは、あの末子にも同じように分けようと思い直した。私も二万とまとまったものを持ったことのない証拠には、こんなに金のことを考えてしまった。やがて、一枚の小切手が約束の三十日より二日も早く私の手もとへ届いた。私はそれを適当に始末してしまうまでは安心しなかった。

「次郎ちゃん、きょうはお前と末ちゃんを下町のほうへ連れて行く。自動車を一台頼んで来ておくれ。