Japanische Klassiker mit Furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Lesen Sie 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) von 高村 光雲 (たかむらこううん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.213 Zeichen · 7 Bildschirme
けれども、どうにか都合をして薬代だけは払いましたが、合田氏の啻ならぬ丹精に対しては、まだお礼が出来ぬので、私はそれを心苦しく感じている中段々身体も元に恢復して参って、仕事も出来るようになりましたので、日頃念頭を離れぬ合田氏への御礼のことをいろいろ考えましたが、病後の生活にはこれといって適当な方法も考え附かず心ならずも一日一日と送っておりました。さりながら、人の普通ならぬ親切を受けてそのままでいることはいかにも気が済まぬ。何か形をもって謝礼の意を致したいものであると私は切に感じていたことであった。
これより先、私は一人の道具商を知っていました。斎藤政吉といって同業者の間では名の売れた人であったが、この人が明製の白衣観音を持っておった。それは非常な逸品でもあるというので、斎藤氏が自慢に私に見せてくれた。見ると、自慢するだけのことはあってなかなか優れたものである。で、私もそれがほしい気がして、およそ、幾金のものかと聞くと、百五十円だということ、薬代さえもようやく工面をして払った時代のことで、私に金のありよう訳でないから買い取ることは思いも寄りません。で、或る時、斎藤氏にとても自分はあの白衣観音を買うことが出来ぬが、作はいかにも結構と思い、心に残っている。