Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぼろしのたて

幻影の盾

夏目 漱石

Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

「続け、続け」とウィリアムを呼ぶ。「赤か、白か」とウィリアムは叫ぶ。「阿呆、丘へ飛ばすより壕の中へ飛ばせ」とシーワルドはひたすらに城門の方へ飛ばす。港の入口には、埠頭を洗う浪を食って、胴の高い船が心細く揺れている。魔に襲われて夢安からぬ有様である。左右に低き帆柱を控えて、中に高き一本の真上には――「白だッ」とウィリアムは口の中で言いながら前歯で唇を噛む。折柄戦の声は夜鴉の城を撼がして、淋しき海の上に響く。

城壁の高さは四丈、丸櫓の高さはこれを倍して、所々に壁を突き抜いて立つ。天の柱が落ちてその真中に刺された如く見ゆるは本丸であろう。高さ十九丈壁の厚は三丈四尺、これを四階に分って、最上の一層にのみ窓を穿つ。真上より真下に降る井戸の如き道ありて、所謂ダンジョンは尤も低く尤も暗き所に地獄と壁一重を隔てて設けらるる。本丸の左右に懸け離れたる二つの櫓は本丸の二階から家根付の橋を渡して出入の便りを計る。櫓を環る三々五々の建物には厩もある。兵士の住居もある。乱を避くる領内の細民が隠るる場所もある。後ろは切岸に海の鳴る音を聞き、砕くる浪の花の上に舞い下りては舞い上る鴎を見る。