Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
ちょうどあつらえゆきのよい天気、葉ざくらの下の茶店には松平伊豆守の智恵で、諸藩からよりだされた勇士術者が三人、まん幕を張らせ、戦わぬ先から勝ち祝いのさかずきをあげて、天魔太郎をまっております。
茶店のまえの広場には八間四方の竹矢来をくんで決闘場にあて、その南北には、おのおの高さ六間(十二メートル)のやぐらをくんで相対させます。これは修験者覚心坊の注文で、天魔太郎を相手に、幻術と法術をくらべるための仕度です。
「さて、おそいな。天魔太郎、いよいよおくれたと見える」
青柳又八郎は二十七、八の武士で、青ヒゲをなでて舌うちなどをしております。
「これだけそろえば、天魔太郎おくれもするだろう。いよいよもってウジ虫太郎と改名か」
これは四十ちかい大入道、山伏すがたでトラヒゲのすさまじいのを見ただけでも、気のよわいものは目をまわしそうです。
「おふたりはヤワヤワともんで、最後の私に引きわたしてもらいたいな。さいしょから片づけられては、おれは仕事がなくなる」
そういうのは、三人のうちでは一ばん若い猫間犬丸、名まえのふしぎなのに似ず、十八、九歳の美少年で、まだ前髪立、両刀をおびているところを見ると、さむらいの子にちがいないでしょうが、木綿の黒紋付、白小倉の袴、いたってむぞうさな、いでたちです。