Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

それを見ると、覚心坊は一ぺんに目をまわしてしまいました。

大蛇は覚心坊のからだをまきこんだまま、壇の上からドッと落ちましたが、見ると、大地の上に落ちたのは気をうしなった覚心坊だけ。しかもその首には、細いモエギの下緒が、人をバカにしたようにふた巻ばかりまいているにすぎなかったのです。

山をうずめる見物人は、しばらくは感にたえて声をたてるものもありません。大蛇がモエギ色の紐にかわると見るや、いちどホッとタメ息ついてにわかに山もゆらぐばかりの歓声となります。

つづいて、壮士青柳又八郎大刀をひっさげて竹矢来のうちにとびこみました。

「サア、こんどは拙者だ、覚心坊のようにはまいらんぞッ」

袴のもも立ちをとって早だすき、一刀を引きぬいて、ほどよきところに立ちあがります。

「さて、その方も恥をかきたいのか」

やぐらからおりた天魔太郎、鉢巻もせずたすきもあやとらず一刀をさげたまま青柳又八郎の面前九尺(三メートル)ほどのところに立ちました。

「正当な技でこい、ひきょうな邪法はゆるさんぞ」

青柳又八郎はさけびました。

「おのぞみどおりだ。蛇がこわいというなら、素手で相手をしてやろう」