Japanische Klassiker mit Furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme
ひとりのうらみをはらすために、天下をふたたび百年の禍乱におとしいれ、万民をくるしめてはならぬ。それに、太郎どのは『百人の人をたすけてからでなければ、将軍家光公を討つ気をおこしてはならぬ』と心外道人にいましめられたはず。――拙僧はなにもかも知っている。この心外道人のいましめには、深い意味があるのじゃ。百人の人のいのちをすくうという大望をはたせば、しぜんに心もやわらぎ人をころすの、敵をうつのといった殺伐な気はなくなるだろうという、言外の意味もあるのじゃ」
「――――」
「塙三郎丸もおなじこと。サアサア、さようなのぞみは、今この場ですてて、丹沢の山奥にかえり、あの台地に村をひらいて一味一党の楽園にするがよい。拙僧は上さまはじめ、松平伊豆守どのに説いて、けっしてその後を追わせるようなことはしないつもりだ。安心してまっすぐに、丹沢へ引きあげるのだ」
天海僧正は枯木のような指をあげて、はるか丹沢の方をまっすぐにゆびさすのでした。
「では僧正、お教えは身にしみてかたじけない。一応丹沢の山奥に引きあげ、千百万人をすくう道を考えて、また出直すとしましょうか。家光公はじめ、伊豆守、豊後守によろしく伝えくだされ」