Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme
高田が帰ってからも、梶は、今まで事実無根のことを信じていたのは、高田を信用していた結果多大だと思ったが、それにしても、梶、高田、憲兵たち、それぞれ三様の姿態で栖方を見ているのは、三つの零の置きどころを違えている観察のようだった。
一切が空虚だった。そう思うと、俄に、そのように見えて来る空しかった一ヶ月の緊張の溶け崩れた気怠るさで、いつか彼は空を見上げていた。
残念でもあり、ほっとした安心もあり、辷り落ちていく暗さもあった。明日からまたこうして頼りもない日を迎えねばならぬ――しかし、ふと、どうしてこんなとき人は空を見上げるものだろうか、と梶は思った。それは生理的に実に自然に空を見上げているのだった。円い、何もない、ふかぶかとした空を。――
高田の来た日から二日目に、栖方から梶へ手紙が来た。それには、ただ今天皇陛下から拝謁の御沙汰があって参内して来ましたばかりです。涙が流れて私は何も申し上げられませんでしたが、私に代って東大総長がみなお答えして下さいました。近日中御報告に是非御伺いしたいと思っております。とそれだけ書いてあった。栖方のことは当分忘れていたいと思っていた折、梶は多少この栖方の手紙に後ろへ戻る煩わしさを感じ、忙しそうな彼の字体を眺めていた。