Japanische Klassiker mit Furigana
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こころのしらべ
心の調べ
宮城 道雄
Lesen Sie 心の調べ (こころのしらべ) von 宮城 道雄 (みやぎみちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.958 Zeichen · 66 Bildschirme
五十年をかえりみて
この度の音楽生活五十年記念演奏会に際し、皆様に御支援を戴いたことを心から感謝いたします。
私は九歳の年の六月一日に箏を習い始めてから、今年が還暦祝などというと、自分でじじくさく感じて心細くもある。しかしこの年を機会に若返っていよいよ勉強したいと思うので、こんどの演奏会を催したのである。
五十年といえば大変長いようであるが、自分ではもう五十年過ぎたのかなと思う位である。私は箏を中心に音楽生活をしているおかげで人生は明るい。しかしその反面には苦難があった。
私の父は、貧乏でありながら気前もよかった。自分が困っていても、人にはそれを見せず、おしげもなくふるまった。したがって、お金はあるだけ使うというたちであった。
父をほめるようでおかしいが、学校は中学を出た位であったが知識は広く、何を尋ねても、何をやらせても人並優れていたらしいが、いわゆる器用貧乏というもので、大した成功はしなかった。それどころか、事業に失敗して朝鮮に渡り、朝鮮で賊に会って重傷を負わされたので、とうとう私が朝鮮へ出かけていって、一家をささえなければならない羽目になった。しかし、まだ年もゆかぬ十四、五歳の私の細腕では、いかにお弟子に箏を教えても、六人暮しの家族を充分に養うことはできなかった。