Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

Lesen Sie 心の調べ (こころのしらべ) von 宮城 道雄 (みやぎみちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.958 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

音の世界に生きる

幸ありて

昨年の暮、一寸風邪をひいて欧氏管を悪くした。普通の人ならたいして問題にすまいこのことが、九つの年に失明を宣言されたその時の悲しみにも増して、私の心を暗くした。もし耳がこのまま聞こえなくなったら、その時は自殺するよりほかはないと思った。音の世界にのみ生きて来た私が、いま耳を奪われたとしたら、どうして一日の生活にも耐え得られようかと思った。幸い何のこともなく全治したが、兎に角今の私には、耳のあることが一番嬉しくまた有難い。

私は、生れて二百日くらいから眼の色が違っていたそうであるが、それが七つの頃から段々見えなくなった。その為に学校に上れなかったが、それが当時の私には何より残念だった。めくらといわれるのがどうにも口惜しくてならなかった。それで無理に見えるふりをして歩いて、馬力につき当ったり泥溝に落ちたりして怪我をしたものである。が、結局諦めねばならなかったので、九つの六月から箏を習いはじめた。音楽は元来非常に好きだったので、間さえあれば箏に向っていた。しかしその頃は――そしてずっと後年まで、やはり時には、眼が見えたらなあと寂しく思うようなこともないではなかった。