Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こころのしらべ

心の調べ

宮城 道雄

Lesen Sie 心の調べ (こころのしらべ) von 宮城 道雄 (みやぎみちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.958 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし私は、今はもう眼が明きたくないと思っている。それは自分が子供の時に見た月とか花とか、いろいろの景色も今も覚えていて美しく想像している。また私は何時迄も長生をしたいと思っているが、しかし寿命が来れば、何時何時でも安心して往きたいと思っている。

私のただ一つの望みは、寿命の来る迄相変らず箏が弾ける様にと、そればかり願っている。

こんなことを考えている中に、何かざわめいたと思うと改札が始った。その人は、親切に私をかかえる様にして階段をのぼらせてくれたが、列車が這入って来ると、混雑して、ろくにお礼も言わない中に、その人とはぐれてしまった。

発車のベルの鳴る頃は降りしきる雨の音が一しきりはげしかった。夜中過ぎても私は眠れなかった。急ぎの作曲があったので、それを考えようとすると、隣りにかけていたおばあさんが小さい声で義太夫を語り始めた。そのうち、おばあさんは眠ったらしい。静かになったので、私はさっきの続きを考えはじめると、おばあさんが急に眼を醒まして、今度は三十三間堂のさわりを始めた。その声が誰にも聞こえない程小さいので、私にはそれが一層気になって仕事がはかどらなかった。