Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme
あの虫は何と云う虫ですかと尋ねますと『へい夏虫でございます』と云って平気で居るのです。実に淋しい宿で、夢を見て居るようでございました。ヘルンは『面白いもう一晩泊りたい』と云っていました。箱根あたりの、何から何まで行き届いた西洋人に向く宿屋よりも、こんなのがかえって気に入りました。それですから、私が同意致したら、隠岐の島で海の風に吹かれてまだまだ長くいたでございましょう。飛騨の山中を旅して見たい、とよく申しておりましたが、果しませんでした。
神戸から東京に参ります時に、東京には三年より我慢むつかしいと私に申しました。ヘルンはもともと東京は好みませんで、地獄のようなところだと申していました。東京を見たいと云うのが、私の兼ての望みでした。ヘルンは『あなたは今の東京を、廣重の描いた江戸絵のようなところだと誤解して居る』と申していました。私に東京見物をさせるのが、東京に参る事になりました原因の一つだと云っていました。『もう三年になりました。あなたの見物がすみましたら田舎に参ります』と申した事も度々ありました。
神戸から東京に参りましたのは、二十九年の八月二十七日でした。