Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんのめ
怪人の眼
田中 貢太郎
Lesen Sie 怪人の眼 (かいじんのめ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.772 Zeichen · 6 Bildschirme
小坂丹治は香美郡佐古村の金剛岩の辺で小鳥を撃っていた。丹治は土佐藩の侍であった。それは維新のすこし前のことであった。
秋風が山の木の葉を吹いていた。丹治は岩と雑木に挟まった径を登って、聳え立った大岩の上へ出たところで、ふと見ると、直ぐ上の方の高い黒松の梢に一羽の大鶴がとまっていた。
「おう、鶴がおるぞ」
丹治の眼は思わず輝いたが、鶴を捕ることは禁じられていたので彼はしかたなく諦めたものの、まだ二羽位しか小鳥の獲物を獲っていないうえに、矢比が非常に好いので諦めて去ることができなかった。彼は銃を握りしめたままで鶴の方を見ていた。と、鶴は羽をばさばさとやりながら松から放れて空高く飛んだが、すぐまたぐるりと引返して来て元の枝へとまった。
「初めよりも撃ちよくなったぞ、撃ちたいな」
丹治は惜しそうに鶴を見詰めていた。
「撃ったら知れるだろうか、俺より他に、何人もいそうにないぞ、こんな山の中じゃ、鉄砲の音は聞えても、鶴を撃っておるやら、鵯を撃っておるやら、わからないだろう、そうじゃ」
丹治はその鶴を人に知れないようにそっと撃とうと思いだした。彼は銃を持ちなおして雑木にかくれて松の下の方へ往った。