Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

Lesen Sie 怪塔王 (かいとうおう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.635 Zeichen · 337 Bildschirme

Aozora Bunko

もう駄目です。帆村探偵の一命は、風前の灯火も同様です。殺人光線が帆村の方にむけられ、そしてボタンがおされると、もうすべておしまいです。

帆村が岩礁のうえに腹匐いになっていたのは、毒ガスからすこしでものがれるためでありました。下には荒潮がぼちゃんぼちゃんと岩を洗っていまして、そこにすこしばかりの風が起っていました。だから重い毒ガスは、下に溜ろうとしても、波のためにあおられ、吹きあげられてしまいます。そしてどこを潜って来るのか、一陣の風がすうっと吹いて来るのです。どこまでも沈着な帆村探偵は、こうしたわずかの安全地帯をもとめて、辛うじて息をついていたのに、いまや大利根博士の持つ殺人光線灯が、最後のとどめを刺そうと狙っています。

不意に帆村は、ぽんと蹴られました。

「あ、痛!」

思わず彼は、声を出してしまいました。

「ふふふ、まだ生きていたか。いよいよ殺人光線灯を食って、往生しろ!」

「待て! 最後に、ちょっと聞きたいことがある」

「なんだ。早く言え」

「貴下は大利根博士ですか、それとも怪塔王ですか」

「そんなことは、どっちでもいい。ほら、もう念仏でも唱えろ」

もう余裕はありません。