Japanische Klassiker mit Furigana
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こいをこいするひと
恋を恋する人
国木田 独歩
Lesen Sie 恋を恋する人 (こいをこいするひと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.195 Zeichen · 17 Bildschirme
大友は思わず叫んだ。
「大友さんでしょう、」と意外にもお正は平気で傍へ来たので、
「貴女は僕が来て居るのを知っていたのですか」と驚いて問うた。
「も少し上の方へのぼりながらお話しましょうか。」とお正は小声にて言う。
「貴女さえかまわなければ。」
「私はちっとも、かまいませんの。」
それではと前年の如く寄添うて、渓をのぼる。
「真実に妙な御縁なのですよ、私は今日、身の上に就て兄に相談があるので、突然に参りますと、妹が小声で大友さんが来宿てるというのでしょう、……」
「それじゃア貴女は僕より一汽車後で来たのだ。」
「そうなの。それで今夜はごたごたして居るから明日お目にかかる積りでいましたの。」
さて大友はお正に会ったけれど、そして忘れ得ぬ前年の夜と全然く同じな景色に包まれて同じように寄添うて歩きながらも、別に言うべき事がない。却ってお正は種々の事を話しかける。
「貴下いつかの晩も此様でしたね。」
「貴下彼晩のことを憶えていらっして?」
「憶えていますとも。」
「私はね、何もかも全然憶えていて、貴下の被仰った事も皆な覚えていますの。」
「僕もそうです。そして今一度貴女に会いたいとばかり思っていました。