Japanische Klassiker mit Furigana
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こいをこいするひと
恋を恋する人
国木田 独歩
Lesen Sie 恋を恋する人 (こいをこいするひと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.195 Zeichen · 17 Bildschirme
今度も実はその積りで来たのです。無論何家へ嫁いていて会える筈は無かろうとは思いましたが、それでも若しかと思いましてね……」
「私も今一度で可いから是非お目にかかりたいと思いつづけては、彼晩の事を思い出して何度泣いたか知れません、……ほんとにお嫁になど行かないで兄さんや姉さんを手伝った方が如何なに可かったか今では真実に後悔していますのよ。」
大友は初めてお正が自分を恋していたのを知った、そして自分がお正に会いたいと思うのと、お正が自分に会いたいと願うのとは意味が違うと感じた。自分はお正の恋人であるがお正は自分の恋人でない、ただ自分の恋に深い同情を寄せて泣いてくれた柔しサを恋したのだ。そして自分は恋を恋する人に過ぎないと知った。実に大友はお正の恋を知ると同時に自分のお正に対する情の意味を初めて自覚したのである。
暫時無言で二人は歩いていたが、大友は斯く感じると、言い難き哀情が胸を衝いて来る。
「然しね、お正さん、貴女も一旦嫁いだからには惑わないで一生を送った方が可しいと僕は思います。凡て女の惑いからいろんな混雑や悲嘆が出て来るものです。現に僕の事でも彼女が惑うたからでしょう……」