Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふのまぼろしへいだんいん

恐怖の幻兵団員

大倉 燁子

Lesen Sie 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

薫さんは画家でしたから、アトリエの必要もあるので、麻布の本邸の一部に画室をかねた小さい家を建ててもらって、そこに住んでいるのです。恰度空襲当時、模範的な防空壕だと云われた壕を地下室に利用して、その上に建てたものなのです。本邸の一部と申しても、薫さんのアトリエまでは相当離れていて、囲いうちと云うだけのこと、随分遠いのです。が、私は用事にかこつけてはアトリエに行って、薫さんに慰められ、うさをはらしておりました。薫さんという人は女性の気持ちに理解がありますので、女の人はみんな彼を好いていました。それだのに、降るような縁談を断って、未だに独身生活をつづけておるのです。独身であるということがまた一層魅力があるものと見えて、薫さんのところには絶えず女客がありました。

ある時、薫さんは、兄さまはかの地で亡くなられたのではありますまいか、と申しました。友人が帰還してそんな噂をしていたと云うのです。内地で贅沢をしていたので、栄養失調で斃れたらしいということなのです。

私はそれを聞いてから、帰らぬ夫を待っているのがたまらなく悲しくって、毎日のようにアトリエへ行っては泣いていました。