Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふのまぼろしへいだんいん

恐怖の幻兵団員

大倉 燁子

Lesen Sie 恐怖の幻兵団員 (きょうふのまぼろしへいだんいん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.784 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

ピストルで誓約書を

四本だった。赤いペルシャ絨氈の上に一本踏みにじって、くちゃくちゃになっているのが落ちていた。

本を読んでいるところを、急に誰かによばれ、慌てて起ち上った拍子にカーネーションの一本が袖に引っかかって落ちた、彼はそれを拾い上げるひまもなく、踏みにじってあの低い窓から飛び出したのだろうと私は想像した。

部屋中くまなく調べ終るのを待って、夫人は語りはじめた。

ピストルで誓約書を

「私達の結婚当時からお話ししなければおわかりにならないでしょうが、何分両親はじめ殆ど全部の親類が不賛成だったのですからね。つまり身分違い、映画女優なんかをこの由緒正しい松岡家の世嗣夫人には出来ないという――。それを押し切って結婚するまでに運ぶのは大へんな努力でした。その間にあって、私達に絶えず同情して、味方になってくれたのは弟の薫さんでした。彼はかげになり、ひなたになりして、私達に力づけてくれたのです。そういう無理な結婚でしたから、一雄が出征して後の私の立ち場は実に惨めなものでした。本邸に引き取られ、厳しい舅につかえ、何一つ自由というものは与えられず、毎日を泣いて暮らしながら、ただ夫の無事に帰る日ばかり待っていたのです。